上布(じょうふ)とは、上等な麻織物のこと。日本には五大上布があり、能登上布はその一つに数えられています。約2000年前に崇神天皇の皇女が中能登地方で機織りを教えたことが能登上布の起源と伝えられており、明治時代には皇室の献上品に選ばれるまでになりました。昭和初期の最盛期には麻織物の県生産量が日本一になり、石川県無形文化財にも指定されましたが、時代の変化で着物離れが進み、現在能登上布の織元は山崎麻織物工房(羽咋市)だけになりました。能登上布最大の特徴は、すっきりとした絣(かすり)模様。他地方にはない能登独自の手染技術によって、能登の風土を映したような美しく凛とした風合いが生み出されます。昔から受け継がれる手法で手織りすることによって生まれる質感も見事。機械織りにはない手織りの織り密度の粗さによる透け感は「蝉の羽」とたとえられ、手仕事ならではの表情が楽しめます。 そんな能登上布の魅力に触れることができる「能登上布市」が6月29日(土)に能登上布会館(中能登町)開催されます。いまや和装だけでなく、現代のライフスタイルに合わせてさまざまなファッションや雑貨に使われるようになった能登上布。イベントでは、能登上布を使った香り袋や風鈴、箸入れといった多彩な商品に出会えます。能登上布の着物を現代風にリメイクした服も並ぶほか、能登上布の塗り絵体験やさるぼぼ作り体験などのワークショップも開催。大人も子どもも能登上布をいろいろな角度で楽しめることができる内容となっています。能登半島地震以来、能登の伝統工芸はさらに注目を集めています。なかでも貴重な能登上布。そのともしびを守って盛り上げていくためにも、イベントに出かけて魅力を体感してみませんか。(Information)■開催会場 / 能登上布市住所/石川県鹿島郡中能登町能登部下134部1番地 能登上布会館電話番号/0767-72-2233開催日時/6月29日(土)10:00~15:00詳細はこちらhttps://www.town.nakanoto.ishikawa.jp/soshiki/kikaku/6/8529.html